さんぽするようなのんびりたび

製鉄の街で鉄板料理:小倉名物焼うどん

焼うどん

家庭の焼うどんとはひと味違う、小倉の鉄板焼うどん

焼うどんと聞くと、多くの人は家のフライパンで作る、あの身近な一皿を思い浮かべるだろう。
キャベツや豚肉、玉ねぎと一緒にうどんを炒め、ソースを絡めてできあがり。
そんな手軽でおいしいとっても魅力的な焼うどん。

しかし、小倉の焼うどんは少し趣が異なる。
鉄板の上でジュ~ジュ~と音を立て、香ばしい匂いが立ちのぼる様子は、日常の食卓とは違う、旅先ならではの体験。


訪れたお店の基本情報

訪れたのは 「本気の焼うどん専門店 きつね」

本気の焼うどん専門店 きつね
  • 住所:北九州市小倉北区魚町1丁目6−13
  • 座席:カウンターがメインだが奥にボックス席あり(4人席が1つとぎりぎり3人席が2つ)
  • 子ども用の食器あり(子連れでも安心)

小倉駅すぐとアクセス良好


製鉄の街と鉄板料理の趣

小倉は古くから製鉄業で栄えた街。
鉄の街でいただく鉄板料理には、どこかこの土地ならではの趣が漂う。
焼きそば用の麺が手に入らなかった時代に、うどんを鉄板で炒めて代わりとしたのが小倉焼うどんの始まりだそうだ。
鉄板の上で立ちのぼる香りやジュ~ジュ~という音に耳を澄ませると、街の歴史や気配がそっと重なってくるように感じられる。

恥ずかしながら、焼うどんが小倉名物とは知らなかった筆者は迷わず訪問を決めた。

鉄板の上で味わう一皿

きつねさんでは焼うどんを熱々の鉄皿にのせて提供
注文は「青じそ焼うどん」

運ばれてきた焼うどんはジュ~ジュ~と音を立て、これ以上ないほどに誘惑してくる。
まず香りから心をつかまれる。
ソースの香ばしさが立ちのぼり、目の前に置かれただけで、自然と箸を伸ばしたくなる。

麺は乾麺から作られているそうだが、ひと口食べるとしっかりとしたコシが感じられた。
麺は平麺で決して太くないがもっちりと意外なほどに感触が返ってくる。
味わいは焼きそばに近く、箸が麺を軽快に口へと運んでいく。

具材はシンプルだが奥が深い。たっぷりのもやしは鉄板の熱で絶妙に火が入り、シャキシャキの食感で食べ進めるたびに軽やかなリズムを奏でる。特に印象的なのはお揚げ。ほんのりと甘みがあり、ソースの香ばしさと重なり合って、他ではなかなか味わえない独特の存在感を放っている。

鉄皿に直接触れた部分の麺はカリッと香ばしく、食感に変化をつけてくれる。
さらに、特製の追いソースをかけると甘みが増し、白いご飯が欲しくなるほどの深みが加わります。

仕上げに散らされた千切りの大葉が爽やかに香り、全体を引き締めてくれるのも嬉しいところ。最後のひと口まで、熱々の鉄板スタイルならではの香ばしさと香りの余韻を楽しむことができる。


家庭の焼うどんとの違い

家庭で作る焼うどんは、手軽さと素朴さが魅力。
一方、小倉焼うどんは鉄板の熱と香りをまとった特別感あり。
家庭版との対比で食べると、その違いは一口ごとに明らかで、パンチ力高め。
コメとも酒とも仲良くなれる。
同じ名前の料理でも、日常と旅先での体験の差が、食べる楽しみを増幅させてくれる。


まとめ:もっと広まってほしいご当地グルメ

小倉の焼うどんは、家庭の一皿とは違う表情を見せてくれる。
鉄板の熱気、立ちのぼる香り、そして耳に残るジュ~ジュ~という音。
そのすべてがこの街の歴史と重なり合い、旅の食体験をより濃いものにしてくれる。

小倉を訪れたなら、ぜひ鉄板の上で繰り広げられる「特別な焼うどん」を味わってほしい。

休館日 森鴎外旧居を訪ねて:小倉と文豪と麦酒

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